
「話す」じゃなくて、「分かち合う」
6月の中間全体MTGは、“らしさ”が集まる時間。
6月2日(月)に実施された中間全体MTG。
今回のMTGのテーマは、
『繋がり』を感じる時間の共有 ~人が人らしくいられる余白づくり~。
アヴニールで過ごす毎日の中で、
ふと立ち止まって「自分のこと」を言葉にしてみる。
そして、それを誰かと「分かち合う」。
離れて働く仲間同士が、言葉にならない気持ちにも
静かに耳を澄ませるような──
そんなあたたかな時間が流れました。
このMTGは、“会社のための報告”ではなく、
「自分と向き合う」ことを大切にする場。
そして、アヴニールという会社が「人」でできている」
ということを、改めて感じるためのひとときでもありました。
阿部:ポチポチのその先で、出会えたもの」
この日のMTGで最初に口火を切ったのは、阿部氏。
全体の空気をふわりと和らげながら、今回のテーマである“分かち合い”について、ゆっくり語り始めた。
■ パソコン1台がくれた、新しい“筋肉”
「最近ちょっと嬉しかったことですか?
いや、“ちょっと”って言えるか分からないくらい、僕にとっては大きな変化でしたね。」
そう話し始めたのは、あるトレーナーの阿部氏。
その“変化”とは、「パソコンが使えるようになったこと」だった。
「使いこなせてるなんて言えるレベルじゃないんですけどね。
でも、それでも“触れるようになった”っていうのが、自分にとってはすごく嬉しくて。
なんというか……新しいギアが身体についたような感覚。
筋トレで言うなら、“別の部位で100kgを挙げられるようになった”みたいな感じですね(笑)」
最近ではAIにも触れるようになり、「もう一人の自分と会話してるみたい」と笑う。
そんな新しいツールとの出会いが、仕事の進め方にも変化をもたらした。
「仕事がスムーズに運ぶようになったのはもちろん、
それ以上に、事務局の方々が普段どれだけ細やかに業務を回してくれていたか、
坂本さんや岩本くんの動きがどれだけ丁寧だったか、身をもって感じました。」
さらに、画面越しに向き合ったのは、お客様の姿だった。
「パソコンを前に一日中作業していると、
“ほな運動してください”なんて軽く言えへんな、って。
体の不調ってこういうことやな、って、自分ごととして感じられたんですよね。
お客様のこと、スタッフのこと、そして自分自身のこと。
たった一台のパソコンが、いろんな人の存在を想うきっかけになったんです。
だから、これは“ちょっと嬉しかったこと”じゃなくて、“かなり嬉しかったこと”でした。」
■ “らしさ”は、ポジショニングから始まる
「自分の“らしさ”をどう出すか?」というテーマに対して、阿部氏の答えは明確だった。
「僕にとっての“らしさ”は、“自分の立ち位置を見定めること”だと思うんです。」
それは会社という場に限らず、家庭やプライベートにおいても同じだという。
「自分の中で“ここが自分の場所だ”って思えるところがあれば、
“らしさ”って自然とにじみ出ると思うんですよ。
あえて“出す”というより、“整える”感覚に近いかもしれません。」
最後に、「このテーマ、正直一生喋れるんで、今日はこの辺で(笑)」と締めてくれた阿部氏。
言葉の一つひとつに、自分と向き合う真摯なまなざしが感じられる時間だった。
坂本:親になるということ。そして、仲間でいるということ。
「最近ちょっと嬉しかったことは…」とゆっくり言葉を選びながら話し始めたのは、坂本氏。
その表情は、どこか照れくさそうで、でもとても柔らかかった。
■ 坂本氏:「父親として、やっと芽生えてきた感覚」
「実は、最近あらためて嬉しかったのは…子どもの存在なんですよね。
ちょっと前に3人目の子どもが生まれたんですけど、ようやく“父親としての実感”が出てきたというか。」
4ヶ月になるお子さんのことを語る坂本氏は、
まるでその姿を思い出しているかのように、時折ふっと笑みを浮かべた。
「よく言われるんですけど、女性って生まれた瞬間から“母親”になるけど、
男性はちょっとラグがあるらしいんですよね。自分もまさにそうで。
『なんか小さいのがおるなあ〜』くらいに思ってたんですけど(笑)、
最近、声をかけると笑って返してくれたりして。
“うわ、ちゃんと成長してるやん!”って気づかされる瞬間が、すごく嬉しくて。」
阿部氏も、すかさず「おめでとうございます」「いい話ですね~」と優しく合いの手を入れる。
■ 「アヴニールという場所で、一緒に過ごしている喜び」
子どもとの時間の話は、やがて“今ここで一緒にいる仲間たち”の話へとつながっていく。
「最近では寺田くんとか、他のスタッフにもお子さんが生まれていて、
なんかこのアヴニールという場所で、一緒に家庭を持ったり、人生の転機を迎えたりする仲間がいること。
そのこと自体が、すごく嬉しいなって思うんです。」
もともと一人で仕事をしていた経験が長いという坂本氏にとって、
「仲間と一緒に頑張れている」実感は、大きな意味を持っている。
「“頑張らせてもらってる”という気持ちもあるし、
“頑張ってほしい”と声をかけてもらえることもある。
そんな環境にいる今が、ほんまにありがたいなって思います。」
岩本:「おかえり」のひと言と、マーボ豆腐。
阿部氏:「じゃあ次……岩本くん、いきましょうか。」
そんなひと声で始まった、岩本氏の“ちょっと嬉しかったこと”のシェア。
先に話していた坂本氏の話を受けて、少し照れ笑いを浮かべながら、ゆっくり語り始めた。
■ 岩本氏:「“おかえり”って言ってくれるようになったんです」
「最近、嬉しかったことが2つあります。」
まず一つ目は、1歳半になるお子さんとの日常について。
「うちの子が、最近やっと“おかえり”って言うようになってきて。
家に帰ったときに玄関で迎えてくれるんです。
それが、なんかもう…たまらなくて(笑)。」
日々の中で何気なく過ぎていく瞬間に、確かな“成長”のしるしを感じる。
親になって初めて気づくこと。
その立場に立てたこと自体が、嬉しい——岩本氏はそう話してくれた。
「日々一緒にいると見えづらいけど、ちゃんと吸収して成長してるんだなって。
“親”になって初めてわかる気づきが、たくさんあるんですよね。」
阿部氏は「いや〜、いいっすね!」と、うれしそうに頷きながらコメントを添えた。
■ そして、マーボ豆腐。
「でも、もう一つあります(笑)」
一転して話題は軽やかに、日常のちいさな“発見”へ。
「最近、大津店の近くに“マーボ豆腐専門店”を見つけたんです。
ふらっと入ってみたら、めっちゃ美味しくて。
あれは嬉しかったですね。」
会場には、ふっと笑いとあたたかな空気が広がった。
■ 阿部氏:「こんなん最高じゃないすか」
子どもの成長にふと感動し、
職場の近くで美味しいものを見つけてちょっと嬉しい。
そんな岩本氏の話に、阿部氏はしみじみとこう締めくくった。
「いや、いいっすね。こんなん最高じゃないすか。」
特別な出来事じゃなくても、
何気ない日々の中に“自分だけの喜び”がある。
その感性に触れたとき、仲間たちの表情もどこか柔らかくなっていた。
中川:「筋トレよりも、大事なものができました」
阿部氏:「いやあ、いいっすね。こんなん最高じゃないですか。
じゃあ次、中川くん、お願いします。」
そう促されて、中川氏が少し照れた様子で話し始めた。
■ 「筋トレより楽しいことが、できたんです」
「最近、嬉しかったことが2つあって。
まずひとつ目は……筋トレより楽しいことができた、ってことですかね。」
これまでセッション後に「少し筋トレしてから帰ろう」と思っていた中川氏。
けれど今は、ある存在がすべてを塗り替えてしまったという。
「最近、念願の“犬”を飼いはじめたんです。
子どものころからずっと欲しかったんですけど、ようやく迎えることができて。
今はもう、セッション終わったらまっすぐ帰って“犬と遊ぶ”のが楽しみで。」
阿部氏もにっこりしながら、「犬、いいですね〜。名前は?」と聞くと——
「コメっていいます。ライスの“コメ”です(笑)」
そんな返答に会場も自然と笑いに包まれた。
■ 「久しぶりって言われただけで、嬉しい」
そしてもうひとつの“嬉しかったこと”は、施設でのある出来事。
「僕、2週間に一回くらいのペースで児童施設に行ってるんですけど、
この前行ったときに、久しぶりに会った子どもが
“中川さん、久しぶり!”って、めちゃくちゃ満面の笑みで声かけてくれたんです。」
たったそれだけ。でも、それだけでいい。
「それがもう、すごく嬉しかったですね。」
■ 阿部氏:「ポカポカしますね」
中川氏の言葉に、阿部氏はゆっくり頷きながらこう返した。
「いやあ……いいですね。
“コメ”も、“満面の笑み”も、なんかポカポカしますよね。」
話を聞く人たちの表情も、どこか和らいでいた。
日々の中で出会う小さな喜び。
それはきっと、自分が何に大切さを感じているのかを教えてくれる。
中川氏の“ちょっと嬉しかったこと”は、そんなことをそっと教えてくれる時間だった。
服部:「チケット1枚と、再会1つぶんの嬉しさ」
「じゃあ次、はっとり君、いきましょうか。」
そう声をかけられて話し始めたのは服部氏。
「そんな大した話じゃないんですけど……」と前置きしながら、少し照れたように語ってくれた。
■ 「行きたかった万博に、誘ってもらえた」
「今、大阪万博やってるじゃないですか?
行きたいなと思ってたけど、チケットも結構高いし、自分ではなかなか行けなかったんですよ。」
そんなときに、友人からの一本の連絡。
「“チケット余ってるから、一緒に行く?”って誘ってもらえて。
その一言がすごく嬉しかったですね。」
ただチケットをもらっただけじゃなく、
“君と行きたい”という気持ちごと受け取ったような感覚。
その小さなやりとりが、心をあたためてくれた。
■ 「小学校の先生との偶然の再会」
もうひとつの嬉しかったことは、思いもよらない“再会”。
「最寄り駅から自宅に向かう途中、なんか見覚えのある車が停まってたんです。
よく見たら、小学校のときの先生で。思わず声をかけたら、先生もすぐ気づいてくれて。」
その場で少し話すと、思い出話に花が咲いた。
「めちゃくちゃ懐かしい話で盛り上がって、
もう、“会えた”ことが何より嬉しかったですね。」
■ 阿部氏:「偶然の出会いって、テンション上がるよね」
服部氏の話を聞いた阿部氏は、「いいなぁ、偶然の出会いってテンション上がるよね」とぽつり。
その言葉に、場の空気もやさしくほどけていった。
行きたかった場所に行けたこと。
昔の先生と再会できたこと。
どちらも“自分から動いたわけじゃない”けれど、
ふと差し出されたものや、偶然出会った瞬間に、ちゃんと嬉しさを感じられる感性こそ、
服部氏らしさなのかもしれない。
小西:「自分で閉じてた“殻”を、ふと外してみたら」
「じゃあ、小西さんからいきましょうか。」
阿部氏のやわらかな呼びかけに、「なんでみんなそんなにパッと“嬉しかったこと”が出てくるんですか?」と、小西氏は少し困ったような笑顔で言葉を返した。
■ 「仕事だけで、生きてる感じがしてた」
「嬉しかったこと……って言われても、何か明確にあるわけじゃないんですけど。」
そう前置きしながら、小西氏は“最近の心の変化”を、まっすぐに言葉にしていった。
「私、ひとつのことにしか集中できないタイプで。
仕事が忙しくなると、それ以外のことが何もできなくなっちゃうんです。
プライベートも手がつかなくなって、“何のために生きてるんやろう?”って思うようなときもあって……。」
そんな感覚が続いていた中で、今年に入って生活にも変化があった。
「実は、今年から“ひとり”になって。
そこから、より一層仕事にこもるようになってたんですけど……
このままじゃしんどいなと思って、ちゃんと休みを“充実させよう”って思うようになったんです。」
■ 「自分から動くと、不思議と“誘われる”」
「とにかく、“誘われたら断らない”って決めてみたんです。
そしたら、自然と人との関わりが増えてきて。」
趣味の植物への興味も再燃し、
外に出かける機会も徐々に増えていったという。
「“孤立してた”って思ってたけど、
実は自分で“殻”をつくって、閉じこもってただけだったんやなって。
自分から少しでも動けば、ちゃんと“来てくれる”んやなって、そう感じたんです。」
■ 「聞こえなかったものが、聞こえてきた」
「なんかね、最近、聞こえなかったものが聞こえるようになる感覚があって。
誰かの言葉だったり、日常のちょっとしたことだったり。
今まで見えてなかったものが、ちゃんと入ってくるようになったんですよね。」
話の終わりに、小西氏は少し照れながら「こんな話でよかったのかな」と付け加えたが、
阿部氏はその場にいた全員の気持ちを代弁するように、やさしく答えた。
■ 阿部氏:「まさに今回のテーマそのものです」
「いや、小西さんの話って、まさに今回のテーマに沿ってると思うんです。
**“余白を持つことで、人が人らしくいられる”**って、そういうことなんですよね。」
「コメント禁止」としていたはずの時間だったが、阿部氏は思わずこう続けた。
「これはもう、喋らずにはいられなかったです。
本当にありがとうございます。」
目立った出来事がなくても、
“気づけたこと”や“変われたこと”は、たしかな前進だ。
小西氏が語った心の解放は、
きっと他の誰かの心にも、静かに響いたに違いない。
はるな:「いくつになっても、新しい“仲間”ができる」
「じゃあ、はるなさん行きますか。」
阿部氏のやさしい声かけに、少し照れながら「はい」と頷いたのは、はるな氏。
静かに、けれど確かな想いをのせて語り始めた。
■ 「資格を取りに行った先で、“仲間”に出会えた」
「4月から、マシンピラティスの資格を取りに行ってるんですけど……
そこで新しく出会った人たちとのつながりが、最近すごく嬉しい出来事でした。」
同じ資格取得を目指す仲間たちと、空いた時間に練習をしたり、
グループLINEでお互いを励まし合ったり。
「ちょっとした一言」で元気をもらえる、そんな関係が自然と育まれていた。
「資格を取る、っていう共通の目標に向かって
一緒に頑張れる人がいることのありがたさを、すごく感じました。」
■ 「縁を広げていけることが、嬉しい」
「いくつになっても、こうやって新しい出会いがあるんだなって。
自分の世界が、少しずつ広がっていくのを実感してます。」
“仕事”や“日常”とは少し違う場所で生まれた関係性だからこそ、
心にそっと沁みるようなつながりになっているのかもしれない。
■ 阿部氏:「素晴らしいな」
はるな氏の話を聞いた阿部氏は、「いや、いいっすね。素晴らしいな」と笑顔で応じた。
その一言には、ただの感想以上に、
「人との出会い」や「ともに頑張る空気」への共感がにじんでいた。
マシンピラティスという新たな挑戦の中で見つけた、心あたたまる繋がり。
それは、はるな氏自身の人柄が自然に引き寄せたご縁なのかもしれない。
「嬉しかったこと」として語られたその時間には、
“出会いを大切にする”彼女らしさが、静かに滲んでいた。
玉島:「カモの親子と、僕の通学路」
「じゃあ、たまちゃん行こうか。」
阿部氏の軽やかな声かけに、「はい」と少し照れながら応えたのは、玉島氏。
「嬉しかったこと、ですかね……」と、記憶をたどるように話し始めた。
■ 「毎朝通る川沿いに、昔からいるあのカモ」
「いつも、駅まで自転車で行ってるんですけど、途中に川があるんですよ。
ちっちゃい公園の横に流れてる、細い川で。」
その川には、昔から“カモ”が住んでいる。
特別目立つ景色ではないけれど、玉島氏にとっては馴染み深い風景だった。
「中学生の頃からずっといて。
その頃も、小さな子どもカモが何羽かいて、可愛いな〜って思ってたんです。」
そして最近——
再びその川沿いで、親ガモと一緒に泳ぐ小さなカモたちの姿を見つけた。
■ 「変わらないものが、そこにある」
「この前また同じように、小さいカモが6羽くらい泳いでて。
ああ、またここで子育てしてるんやなって思ったら、なんかちょっと嬉しくなったんですよね。」
当時と同じ川、同じ風景。
でもそこに、過去の自分の記憶や感覚が重なって、「あの頃の続き」が静かに今も流れていることに気づいた。
■ 阿部氏:「いや、ホットやな」
話を聞いた阿部氏は、「いや、ホットやな」と一言。
それは、「すごいね」や「すばらしいね」よりも、もっと深くてあたたかい反応だった。
何気ない日常の中で、ふと立ち止まりたくなる瞬間。
玉島氏が語ったのは、そんな“静かな嬉しさ”だった。
それは、自分の“らしさ”の種が、すでに足元にあることを教えてくれるような、やさしい時間だった。
杉浦:「誰かに会いに行くことで、自分を取り戻せた」
「次、杉浦さん行きましょうか。」
阿部氏に促されて話し始めたのは、杉浦氏。
少し静かな口調で、けれど飾らず、今の自分に繋がる過去の出来事を語ってくれた。
■ 「人生で一番しんどかった時期がありました」
「“らしさ”ってどう出るのか?と考えたときに、
まず思い浮かぶのは、去年のことなんです。」
2023年の1月から7月にかけて——
杉浦氏は、人生で一番しんどい時期を過ごしていたという。
「本当に家から一切出ていませんでした。買い物以外の外出もなくて、
月に1回は会っていた友達にも連絡をとらなくなって……
誰とも繋がらない時期が続いていました。」
その暗いトンネルを抜けるきっかけの一つが、アヴニールだった。
■ 「会いたい人に、会いに行く」
「アヴニールに入って思ったのは、
“会いたい人には、自分から連絡しないと会えない”ってことでした。」
それからは、どんなに忙しくても、
たとえセッションが詰まっていても、
“会いたい人には、ちゃんと自分から声をかける”。
月に一度でも会いに行くことが、自分を整える手段になったという。
「私にとって、“人に会う”ってことが一番“自分らしさ”を出せる瞬間なんです。」
■ 「ただただ、愛をぶつけてくる動画」
そんな杉浦氏が“最近嬉しかったこと”として話してくれたのは、
お兄さんから送られてきた、姪っ子(2歳半)からの動画だった。
「ただただ、“会いたい”“遊びたい”っていう愛を全力でぶつけてくる動画で(笑)。
それがもう嬉しすぎて……今では保存して、毎日眺めてます。」
無条件の愛情をぶつけてくれる存在に、心がじんわりと癒されている様子が、言葉の端々ににじんでいた。
■ 阿部氏:「らしさをやっと発表してくれて、ありがとうございます」
杉浦氏の話に、阿部氏はふっと笑みを浮かべてこう言った。
「いや〜、“らしさ”をやっと発表してくださって、ありがとうございます。
ほんと、いい話でした。」
沈んでいた時期も、
再び動き出せた今も、
“自分らしくいる”ための大切な一歩を、杉浦氏はしっかり歩いている。
「人に会うことが、自分らしさを取り戻す鍵」
そう語る彼女の姿に、多くの人がそっと背中を押されたに違いない。
馬場:「お米5kgで知った、奈良のやさしさ」
「じゃあ、ラスト。馬場さん、いきますか。」
そう声をかけられ、少し照れながら「はい」とうなずいた馬場氏。
話し始めたのは、“つい昨日”の出来事だった。
■ 「落ちそうなお米と、差し伸べられた手」
「昨日、食料品を大量に買いに行ったんです。
5kgのお米を片手で持ちながら、カートを押してたんですけど……」
両手ふさがりでフラフラになりながら歩いていると、
まわりの店員さんやお客さんたちが、すぐに声をかけてくれた。
「“落ちるよ!”とか“危ないよ!”って、
本当に何人もの人が助けてくれて。
レジでも“優先で通っていいよ”とか、“車まで持って行こうか?”って言ってくださって……
なんかもう、すごく嬉しくて。」
そのやさしさに触れて、ふと込み上げてきたものがあった。
■ 「奈良のあたたかさに、じんわり感動」
「奈良に引っ越してきてから、
初めて“奈良のあたたかさ”を肌で感じました。」
ふだんはなかなか言葉にすることのない“街のやさしさ”という存在。
けれど、何気ない日常の中で、それが思わぬタイミングで心に届くことがある。
「ほんとに、感動しました。嬉しかったです。」
■ 阿部氏:「奈良に引っ越したんよね」
「そっか、奈良に引っ越したんやったよね」と阿部氏。
「いいっすねぇ」と言葉を添えながら、場の空気がほんのり和らいだ。
スーパーでのお米5kg、
そんな何でもない日常の中にあった、やさしさのリレー。
馬場氏の話は、“人のまなざし”が持つ力をそっと思い出させてくれるような、
あたたかい締めくくりとなった。
貴志:「捨てる側から、拾う側へ」
「…あ、ごめんごめん、貴志くん忘れてたわ!」
場の空気がひと笑いに包まれる中、ラストに登場したのは貴志氏。
「お疲れ様です」といつものテンポで挨拶をし、ゆっくりと語り始めた。
■ 「自分でゴミを拾えるようになったんです」
「最近ちょっと嬉しかったことなんですけど……
自分でゴミを拾えるようになりました。」
会場に一瞬、間のような空気が流れたあと、
思わずくすっと笑ってしまうようなその“答え”に、空気がふっと和んだ。
「以前の自分だったら、正直ちょっと“捨てる側”やったんですけど……
最近は、知らない人のゴミでも無意識に拾えるようになってて。」
それは些細なことだけれど、本人にとってははっきりとわかる“内面の変化”。
「これって、実は“自分らしさ”かもしれへんな、って思ったんです。」
“誰かが見てないところで、当たり前のように手を動かせる”。
その静かな変化は、派手ではなくても、確かに「その人らしさ」を映している。
貴志氏の発表は、そんな「じわっと嬉しい」時間となった。
それぞれの「向き合う時間」が、ちゃんとここにあった
最後に、阿部氏からこんな問いかけがありました。
「どうですかね? ある程度、自分と向き合う時間は持てたでしょうか?」
誰かに見せるためでも、報告するためでもなく、
ただ“自分のためだけに”、心を見つめる時間。
何も書かなかった人もいれば、
思いのままに言葉を綴った人もいるかもしれません。
でも、それでいい。
それが、いい。
この時間に正解はありません。
ただ、「今ここにいる自分」を見つめてみること。
その行為そのものに、きっと大きな意味があったはずです。
それぞれが、それぞれの形で過ごした「余白」。
その静かな営みが、アヴニールという場所に、
確かに温度を残していました。
みなさん、本当にありがとうございました。