
好きなことを仕事にする。
一見すると理想の形に思えるが、その中には避けられない矛盾が潜んでいる。
好きは心から自然に溢れるもの、商売は対価を前提として成り立つもの。
どちらも尊いが、同じ場所にありながら異なる性質を持っている。その境界に立つとき、私たちは「好き」に甘えることなく、「商売」に縛られることなく、両方をどう生かすかを問われる。
『好きだけでは続かない。けれど、好きがなければ続ける意味がない』
この言葉が示すのは、情熱のみに頼れば燃え尽き、損得勘定だけに寄れば心が冷えるという事実だ。
だからこそ、両方を切り分けて持つことが必要になる。
好きが心を潤し、商売が現実を支える。
その二つの間で揺れながらも、歩みを止めないことが大切なのだ。
『商売は責任を与え、好きは力を与える』
商売は対価に見合う誠実さを求め、好きは心からの持続力を与える。どちらか一方だけでは人は長く立ち続けられない。
商売の秤があるから責任を果たせ、好きの灯があるから諦めずに進める。
両者の働きが合わさって初めて、仕事はただの義務を超えて「生きる証」となる。
『好きが灯し、商売が守る。二つが揃って、道は長く続いていく』
この重なりは、無償の心と有償の責任が響き合う姿だ。
好きが仕事を温かく照らし、商売がその火を風から守る。
その循環があるからこそ、人の働きは途切れず続いていく。切り分けは対立ではなく、共存のための作法なのだ。
そうして渡り続ける橋の先に、揺らがぬ未来が開けていく。