ずっと嫌いだった、自分の姿勢
私はずっと、自分の姿勢が嫌いだった。
なんとなくじゃなくて、はっきり「悪い」と分かっていた。立っている姿も、歩いている姿も、全部綺麗じゃなかった。
一番分かりやすかったのは靴のすり減り方だ。いつも内側の、しかも指先側だけが異常に減る。これは真っ直ぐ歩けていない証拠だし、つま先同士が当たる歩き方をしているということでもある。膝から下を外回しに使って歩いていて、典型的なO脚の歩き方。大転子の張りもずっと気になっていた。鏡を見るたび、横に広がった骨盤まわりが目に入って、骨格のせいにしていた。
また、私は韓国アイドルが好きで、パフォーマンス動画をよく見る。そのたびに自分の姿勢の悪さを突きつけられている気分になった。背筋が伸びて、軸がぶれない立ち姿を見ると、「同じ人間なのに、どうしてこんなに違うんだろう」と落ち込んだ。ピラティスを始める前から、自分の姿勢が本当に嫌いだった。
始めた理由はシンプル。でも最初は変わらなかった
ピラティスをやろうと思った理由はシンプルだ。流行っていたし、姿勢が良くなると聞いたから。でも、実際に始めてみて最初の3か月は、正直何も変わらなかった。「これ意味あるのかな」と思ったこともある。
ある日、歩き方が変わっていることに気づいた
それでも続けていたある日、セッション後に歩いている時に変化を感じた。足の裏で、ちゃんと床を蹴っている感覚があった。軸がぶれなくて歩きやすくなっていた。今まで“なんとなく足を出していた”歩き方じゃなくて、地面を押して前に進んでいる感じ。その時初めて、「体が変わり始めてる」と思った。
それから、大転子の張りが少し無くなった。今でも大転子はあるが、気にならなくなった,O脚も完全に治ったわけじゃないけど、3年前の自分と比べると確実に違う。いい姿勢でいられる時間も増えたし、インナーが使えている感覚も分かるようになってきた。
体よりも先に変わったのは、気持ちだった
でも、ピラティスで一番変わったのは、体より気持ちかもしれない。
恥ずかしい話だが私は前職でお局にいじめられて、鬱になったことがある。挨拶しても無視される。私にだけ必要な報告が回ってこない。露骨で、陰湿で、理不尽だった。同期に「大丈夫?」と心配されるほど、周りから見ても分かる状態だった。
でも21だった私は、何も言えなかった。私の真似されてバカにされても、見て見ぬふりをして、ずっと笑っていた。私が耐えればいいと思っていて、それしかできなかった。2年間耐えた。正直今思い出しても辛い。
だがある日、会社へ行く前に吐き気と涙が止まらなくなり、電車に乗れなかった。理由は分からなかったけど、心が限界だったんだと思う。鬱と診断された。あの日から今も通勤時の満員電車に乗ると息が詰まるような感覚になる。仕事を辞めてからは外に出なくなり、ピラティスもやめた。
引きこもり生活が始まった。日光も浴びず、運動もしない。ご飯はUberで済ませていた。お金と精神がどんどん削れていった。引きこもっていれば楽になると思っていたけど、実際は真逆だった。
戻れたきっかけと、再開してからの変化
何ヶ月たった後友達や彼氏に支えられて、少しずつ外に出られるようになった。ある日、ピラティスのチケットがまだ残っているのを思い出して、久しぶりにスタジオへ行った。インストラクターは、間が空いた私を責めることなく、当たり前みたいに迎えてくれた。その瞬間、少しだけ肩の力が抜けた。その時間が、今思えば大きな転機だったと思う。
ピラティスを再開してから、どんどん好きになった。体を動かすたびに、「ちゃんと自分の体に戻ってきてる」と感じた。もっと知りたくなって、もっと続けたくなって、インストラクターの勧めでBASIのコースも受けた。
私は、ピラティスのおかげでここまで元気になれたと思っている。体を動かすこと、姿勢を整えることは、ただ見た目を変えるだけじゃない。自分を取り戻す作業だった。
今の私が思うこと
今の私は、あの頃よりずっと精神が強い。
今ならあの時いじめてきたお局に強く言い返せる。周りの目を気にせずに机を両手で思い切り叩いて「いい加減にしろよ」って言えると思う。よくここまで強くなれたもんだ。
ピラティスに出会えて、本当に良かった。体と向き合う時間が、私を強くしてくれたとすごく感じる。
