夏ですね!
各地で大小さまざまな花火が上がっていますね。
みなさんは、人生で1番美しいと思った花火は、どんな花火ですか?
実は、私は、現役の花火師です。近畿各地の花火大会で花火を打ち上げにいっております。
そんな私が、人生で1番美しいと思った花火は、
電車の乗り換えの時の駅のホームで、看板のスキマから見えた花火でした。
アヴニールで仕事を終わらせ、日報と明日の業務内容まとめている時でした。
ドンっ
「え、この花火って」
その祭りのことを知らなかった私は、
すぐにスマホで検索し、
今まさにその花火が打ち上げていることを突き止めた。
「わ、もう1年前なんか」
1年前の私は、
事業に失敗し、職を失い、夢も自我さえも崩れ落ち、家庭を失う1歩手前になっていた。
ベッドに横倒れ、
ホコリを数えるゴミのような死んだ時間をすごしていた。
何もしてないから苦しい、
苦しくて何もしない。。。
自己嫌悪と自己中心的な考えを繰り返し、
世の中のすべてが腐って見えた。
そんなクソみたいな日を過ごす、私を見かねた親父が、
強引に知り合いの花火会社の仕事を紹介し、連れられた。
久々に動くという感覚、
人のために働くという実感、生きていて居心地がよかった。
花火会社も、コロナ明けで、
減っていた需要が一気に増え、
猫の手も借りたい時期だったのもあり、
小間使いの作業員として呼ばれ続けるうちに、
いろいろ仕事を任されるようになり、
いつしかに親父と肩を並べて、現場を任される花火師にまでなっていた。
知らないうちに、失業によるしんどい気持ちはなくなり、
人生に絶望する時間はなくなり、
前向きに、誰かのため、家族のために頑張れるようになっていた。
人生で1番ポンコツな私の面倒を、1から観てくれた人は、私の人生の恩人である。
花火の仕事は大変だ。
そもそも爆発物を扱うため、
死と隣り合わせだ。
重たい、そして夏で暑い、
設置場所は崖の上、山の中、未開拓地な場所で、雨の中でも、暗い場所でも作業をする。
花火師は、花火を見て笑顔にはならない。
1つの失敗で、1つの花火大会が中止する、
そんな責任と重圧に耐えないといけない。
そんな中、誰が笑顔になれようか。
だが、花火を見て笑顔になることを忘れていた私が、
花火を見て、確かに笑顔になれた。
1年前、誰よりもダサい自分が、
確かに頑張っていた光景を思い出したからだ。
こんな美しい花火を私は見たことがなかった。
想いが溢れ、
そのことを、素直に川原代表に伝えた。
すると、
『沁みますね』
『人生、山あり谷ありですが、頑張っていきましょう!』
と言っていただい言葉を、私は今でも覚えている。
代表やアヴニールは、もはや私のもうひとつの恩人だ。
私の人生は、家族、花火、アヴニールの3つに支えられている。
ふと、ホームを見渡すと、
普段、スマホで自分時間を過ごす人々が、
花火を見あげ、スマホをかかげ撮影をしていた。
きっと大切な人に、その瞬間を共有する人もいるだろう。
なんて温かく、心が満たされた空間なんだろう。
この世は、なんて美しいんだと思った。
花火が美しいと思えるのは、
花火で笑顔になる、あなたが、あなたの周りにいる人が美しいからなのかもしれない。
