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新店舗準備とワンナイト(週刊アヴトーク2025年第01号)

薄暗い密室で、薄灯りが坂本と速見パイセンの体を赤く火照りつける。
汗ばみながら、声を殺して、2人だけの空間を楽しんでいたー

 

坂本と速見パイセンは、お互いの事を想いやる、
まさに相思相憎の仲だ。
16日17日に、大阪、兵庫を股に掛けた、大新店舗プロジェクトが計画されていた。

 

大プロジェクトともあり、
最初から坂本がホテルに泊まる予定だったが、
プロジェクトの大きさやスケジュールの関係で、
速見パイセンが泊まることになることを知らされる。

「ちょ、え?」

坂本は悟った。

走馬灯のように、“未来”を思い描く。

 

早速、速見パイセンとのドライブデートから始まる。

「運転怖いんで見ててください」

女の子に言わせたい言葉上位のワードを、速見パイセン口から聞く。

 

意外とドライブデートは順調だった。

会話も弾み、大阪の街を駆け抜け、西中島/新大阪店に到着する。

 

新大阪店は、新店舗ではないが、大リニューアルするのだ。

馴染みのトレーニングマシンを撤退する。
阿部氏と玉島氏の大粒の涙が床を濡らす。
それは当然のことだろう。思い出の詰まった相棒が、旅立つのだ。

「今、別れの時〜 飛び立とう〜 未来信じて〜」

 

別れもあれば、出会いもある。

新しいマシンが運ばれていき、店内は様変わりする。

 

後日、玉島氏に聞いてみた。

坂本「マシン無くなってどう?」

玉島氏「いやぁー 寂しくなりましたねぇ。。。」

坂本「そっか。そりゃ辛いよね。。。新しいマシンがある新大阪店はどう?」

玉島氏「いや、最高ッスね」

玉島氏は、順応がものすごーく早かった。

 

無事に馴染みトレーニングマシンの撤収と、新マシンの搬入が終了した。

神戸に向けて出発する。

 

※イメージ図

阿部氏「僕も乗っけてってくださいよ」

きび団子もいらず、乗ってきたクマさん。

主役の桃太郎がいない、サルとイヌとクマの三匹が乗っている激狭ドライブだった。

 

ようやく神戸に到着したのは17時くらいのことだった。

 

神戸の空気は美味かった。

神戸の空気を楽しんでいた坂本は、大きなミスをしていることに気がついた。

呼吸により脳内に酸素が充分に送り込まれ、脳神経が活性化したことにより、
速見パイセンのホテルの部屋を取り忘れていたことに気が付いた。しかもベッドは1つであった。

 

本日、2度目の走馬灯が脳内を駆け巡る。

 

この大事件を速見パイセンに恐る恐る伝えると、

速見パイセン「僕、床でも寝れるんで、大丈夫ですよ」と言い、
部屋に到着早々、ベッドの上でベッドメイキングを始める。



これほど近い枕の位置を、坂本は見たことがなかった。

 

 

温泉とサウナがあるホテルを予約していた。

前日の体へのアプローチが、翌日のパフォーマンスに大きく影響する。
30代の知恵である。

究極のリラクゼーションこそ、仕事終わりのサウナなのだ。

 

え?次の日も大仕事だって?

チッチッチッ

大仕事だからこそ、究極のリラクゼーションを“あえて”行うのである。

大仕事と大仕事の合間にある、ひと時の安らぎに全集中するのだ。

仕事とプライベート、理想と現実、理性と本能、生活費とお小遣い、

高温の熱射と低温の冷却の中、

弱音を出さず、揺らがず、臆せず、 
“男”は“男”としてのプライドで耐え忍ぶのだ。

サウナの暑さは母の熱烈な想いやり。
水風呂の冷たさは父の冷徹な厳しさ。
サウナはまさに大人の教育なのだ。

 

いよいよ

96℃の超高温設定。

「なんて贅沢なんだ。」

サウナに入る。熱い。

 

サウナという薄暗い密室で、薄灯りがが速見パイセンの体が赤く火照りあう。

坂本と速見パイセンが汗ばみながら、声を殺して、2人だけの空間を楽しむ。

 

しっかり入った後、待ち構えるのは、16℃の冷水。

「キンキンに冷えてやがる」

 

そして、きちんと“教育”を受けた僕たちがそう 

【オープンボーイズ】

どんな店舗も翌日オープンさせるという、アヴニールの生きる伝説だ。

 

翌日の大仕事の英気を養うため、2人はふざけることもなく寝床につく。

速見パイセンとのいちゃいちゃタイム(布団争奪合戦)が始まる。

 

 

最終的に、坂本は半ケツ、速見パイセンはウインドミル状態で、起床。

 

本日の戦闘服に着替え、午前6時出発した。

 

岡本店では、

オーナーのオールドダンディとの現場監督バトルが繰り広げられていた。

 

「ワシ、ビル持ってるから、みんなで楽しいことしようや」

地域の老人会のピクニック感覚で、集まった老人たちが始めた、不動産運営。
搬入というイベントを、推定70歳オーバーのオールドダンディとオールドセクシー達が、一生懸命に頑張る(見守る)。

搬入が終われば、昼下がりの喫茶店でコーヒーを嗜みあい、今日の搬入についてのアイスブレイク。
オールドたちの会話は、アイスブレイクで始まり、アイスブレイクで終わるのだ。

厳しい感想を言いつつ、ピクニックのような物珍しい出来事に内心楽しみ、20時30分に寝床に着いのだった。

全て、私の憶測である。

 

オーナーのオールドダンディは、まさに嫋やかであった。

曲がった背筋で、真っ直ぐな視線を送り、指揮を執る。

まさに現場監督そのものであった。

 

だが、アヴニールの現場監督の坂本も黙ってはいられなかった。

皆さん、写真がお見えになるだろうか。

フィットネス企業ということもあり、美人美男が揃うスタイリッシュな雰囲気の現場で、生粋の土建業者のような風貌をしている人が1人いる。

それが坂本である。

 

重たい物を、壁に当たらないように、ゆっくり慎重に運び込む。

通常の運搬の何倍もの疲れを感じる。

だが、しばらく運搬をしていると、気がついたことがある。

 

「いや、これは運搬ではなくサービス、おもてなしなのだ」

形ではなく、見え方。

物ではなく、在り方。

重たい物の運搬でなく、丁寧な仕事姿勢ぶりがここでは大切なのだ。

 

掛け声を3倍大きく、何度も指差し確認、互いに注意・気遣い合うコミュニケーション。

 

求められていることは、 作業ではなくホスピタリティということで、
さすがは、パーソナルトレーナー。

言葉交わさずとも、肌感覚で理解し、勝手に伝播していく。
一人一人の動きが揃いはじめ、個が融和し、1つの連動意識体のような働きに変わってゆく。

現場に、ホスピタリティが満ちていく。

オーナーの顔が丸くなっていくのが目に見えた。

 

作業は無事終え、

速見パイセンはオールドダンディと仲良くなっていた。

 

なんやかんやあって、
4月16日17日の新店舗準備は、良く良く上手くいった。

仲良くない速見パイセンと坂本は、これからどうなるのかは、神のみぞ知るといったところか。

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