12月1日、現場に向けて、ひとつの長いメッセージが発信された。
「お客様より自分優位になっていないか」
「プロとしての基準をどこに置いているのか」
「マネジメントが機能していない構造そのものを、どう変えていくのか」
厳しいけれど、どこまでも現場への愛情とプロ意識に満ちた内容だった。
このコラムは、あの日のミーティングで話されたことと、
その後に続いたメッセージの“延長線上”にある。
■アカデミー制度は「現場がダメだから」ではなく
「マネジメントが機能していない現実」から生まれた
まず、アカデミー制度について。
表向きの説明だけを聞くと、
「100本に届かないトレーナーを対象とした強化プログラム」
そんな印象を持たれがちだ。
でも、会議の中で交わされた本音は、もっと違うところにあった。
・現場の強度が落ちている
・お客様優位のスケジュールになっていない
・コミュニケーションが雑になっている
・クレームや担当変更が実際に増えている
これらは、個々のトレーナーだけの問題ではない。
その背後には、
・100本未満のトレーナーの動きを、マネージャーが構造的に追えていない
・「たぶん大丈夫」を前提にした、様子見のマネジメント
・一度伝えたら終わりになってしまい、検証とフォローが抜け落ちている
といった、マネジメント側の不備がはっきりと存在している。
だからこそ、今回の会議でははっきりと言葉になった。
「現場だけを叩く構図は、もう終わりにしよう」
「マネジメントが届いていないなら、その分も含めて構造を変えよう」
アカデミーは、“できていない現場の尻拭い”の制度ではない。
マネージャーという“人の力”だけに依存していた育成体制そのものを、
「仕組み」に置き換えていくための装置だ。
■人から仕組みへ――でも「人を切り捨てる」話ではない
今回の会議で共有された方向性はシンプルだ。
・マネージャー制度は、なくしていく方向に進む
・マネジメントを「役職」から「仕組み」に移していく
・100本未満のトレーナーの状態を、“感覚”ではなく“構造”で把握できるようにする
これは決して、
「マネージャーはいらない」「人はいらない」という話ではない。
むしろ逆で、
・人にだけ背負わせていた責任を、仕組みに分散させる
・属人化した“運”や“相性”を減らし、誰にとっても公平な環境をつくる
・頑張っている人が、きちんと光を浴びる土台をつくる
そういう意味合いが強い。
アカデミーは、
「できていない人を裁く場」ではなく、
「構造を変えない限り同じことが繰り返される」という現実への回答だ。
■阿部さんのメッセージが、会議の“裏テーマ”に火をつけた
ミーティングのあとに届いた、現場向けのメッセージ。
そこで語られていたのは、「お客様が第一か、自分が第一か」という問いだった。
・自分都合のシフトになっていないか
・文面に誠実さが欠けていないか
・お客様を迎える準備より、自分のルーティンを優先していないか
こういった問いかけは、現場だけではなく、
マネジメント側にも突き刺さる内容だった。
阿部さんのメッセージは、
トレーナーに「姿勢」を問うと同時に、マネージャー側にも問いかけていた。
・100本未満トレーナーの動きを本当に追えていたか
・“様子見”のまま放置していなかったか
・一度伝えて終わりにしていなかったか
・現場の問題を「現場の責任」で済ませていなかったか
そして最後には、
そのマネジメント不足を許していたのは自分にも責任があるとしたうえで、
「血の通った組織改革」をやると宣言した。
会議で決めた“構造改革”と、
メッセージで語られた“姿勢の改革”。
この二つは、別々の話ではなく、一本の線でつながっている。
■新統括体制は、「人を守る仕組み」をつくるための再配置
今回の会議では、新しい統括体制も正式に進められた。
・業務推進
・人材
・運営
・育成
・事業設計
・事務局
これまでは
「気づいた人が担っていた領域」、
「得意な人が無意識に背負っていた役割」
が多かった。
そこに名前をつけ、役割を切り出し、
“誰が、何に責任を持つのか”を明確にする。
これは、
“いい人が全部背負う”構図を終わらせるための分解作業でもある。
■編集長コラム
― 仕組みが骨になる。けれど、血を通わせるのはいつも人だ。
編集長の私は、今回の流れをこう受け止めている。
アカデミー制度も、
マネージャー制度の見直しも、
新統括体制も、
全部まとめてひとつのメッセージだ。
「もう、人の善意と根性だけで組織を回すのはやめよう」
「仕組みで守り、仕組みで育て、そのうえで人が輝く会社になろう」
でも、どれだけ仕組みが整っても、
アヴニールの中心にいるのは“人”だ。
・笑顔を届けるのも人
・安心を生む声を出すのも人
・スケジュールの裏で悩むのも人
・クレームを受け止めて前に進むのも人
仕組みは骨格。
血を通わせるのは、いつだって人だ。
アカデミーは「人を裁く場所」ではなく、
「人の可能性をもう一度すくい上げる場所」であってほしい。
統括体制は「権限を増やす仕組み」ではなく、
「負担を一人に集中させないための仕組み」であってほしい。
そしてアヴニールという会社は、
どれだけ仕組みが強くなっても、
“お客様の笑顔”と“スタッフの人生”を両方大事にする、人の会社であり続けたい。
人から仕組みに移すのは、
人を手放すためではない。
人を守り、人を活かし、人に未来を見てもらうための選択だ。
公開されるころには、また次のミーティングが始まっている。
そのたびに仕組みは更新され、
そのたびに私たちは問われる。
「その中心に、お客様はいるか」
「その周りに、仲間への敬意はあるか」
アヴニールはまだ途中の会社だ。
でも、その途中を一緒に歩く仲間がいる。
仕組みが強くなっても、
最後に残したいのは、やっぱり人の温度だ。
これからも、その温度を手放さず、
組織としての強さを積み上げていきたい。
