
力は、閉じ込めるほど冷え、分け合うほど温まる。
筋肉が使うほど育つように、力も渡すほどに鍛えられる。
独占は滞りを覚え、共有は循環を生む。
渡した力は、受け取った者の中で形を変え、温度を帯びて、更なる拡がりを見せる。
“私の力”から“私たちの力へ”。
その変換が、力の意味を拡張させる。
『溜めた力はただの重りとなり、放つ力は新たな風となる』
失う怖さを超えたその一手が、誰かの明日を軽くする。
誰かの弱さを強さに向ける。
それこそが真の力の証明だ。
ただ、すべてを差し出す必要はない。
いま持てる一握りの時間と、言葉と、背中を押すひと押し。ただそれだけでも充分な力となり、「はじまりの合図」を迎えることができるだろう。
『一滴の積み重ねが、流れを生み出す』
見返りを計ることなく手渡す力。
それは“あなた”の知らぬ場所で、誰かの明日を支える。
“あなた”の小さな力の放出が、ゆっくりと周りの体温を上げていく。
『見返りなき循環が、未来を温める』
躊躇いに向くその指先を、そっと「巡りゆく道」に向けてみよう。